『ボールのようなことば。』を読んで

「若い世代に、糸井重里のことばを届けたい」

こんな動機から編まれたのがこの本です。
まさにその動機の通りの本で
ジャンルはエッセイなんですが
糸井さんの名言集みたいな感じ。

結構サラサラ読める本でした。

 

内容としては
かなり抽象的で含みのある内容で、
半分くらいはよくわからないし、
わかったとしても、それは「解釈」
になってしまうような本です。

なんだか論語っぽいなあと思いました。

でも「なんとなく分かるかも」
と思える文章は
本質的で優しくて
こころに残る内容でした。

一個すごい好きな文章があって

 ありがとうを
 送り出す口もいいけれど
 ありがとうを
 受け取る耳だって
 とてもいいもんだぞ、おい

という文章。

僕は常々「まっすぐでいたい」
と思っているんですが
調子が良くないときとか
悩んでいるときとか
人から貰ったありがとうを
素直に取れないときがあるんです。

だから、この
「受け取る耳もとてもいい」
って言葉がすごく身に染みて
「ああ、そうだよね」って
あたたかい気持ちになりました。

この本は
なんかモヤモヤするときとか
いろいろ考えすぎてるときに読むと
すごく安心させてくれる本です。
ふわっとしてるんですが、

「そうだよね、それがイイよね」

そう思わせてくれるイイ本でした。

 

 

 

ここからは余談なんですが

読んでて思ったことが
もう一つありまして。

それが「糸井さんはすごいなあ」です。

糸井さん言葉のプロなんだと
強く強く思いました。

 

内容があたまに入らなくても
読んでるだけで心地がいい。

言葉のリズムとか
漢字、ひらがな、カタカナ
のバランスとか。

そういうものが洗練されてて
さすが、コピーライターやと思います。

 

特に例え話の上手さに感動して、

例えば

 たまたま吉本隆明さんの
 『最後の親鸞』という本に出会って、
 水道からごくごく飲む水のように、
 読んだっけなあ

というはなし。

僕はこの「水道から〜」の
例えがめちゃくちゃ好きで

「夢中になって読んだこと」の
夢中さを、めちゃくちゃ実感できる
例えだと思うんです。

 

糸井さんの本は、こういう
「言葉の職人技」みたいなものが
そこらじゅうに散らばってます。

もともと突き詰めた技術が好きなんで
読んでる最中はずっと感動してました。

 

こういう文章を書けたら
すごく楽しいんだと思います。

明日からも頑張っていこう。
お疲れ様でした。